【 razbliuto 】

孤独を愛せ、愛を貫け

165

追悼 BUCK-TICK 櫻井敦司

櫻井敦司がこの世を去った。2023年10月19日。享年57歳。
報せを聞いてからとっても辛かった。今も辛い。けど人間だから、私には明日があるから、きっとこの気持ちは薄れていく。だから今のうちに書いておこうと思う。

その時代を生きたわけではない(生まれてても超ちびっこ)ので具体的な時系列は定かでないけど、私の中では初期ヴィジュアル系ブームの三本柱はXJAPAN、LUNASEA、そしてBUCK-TICKだと思う。(厳密にいうとLUNASEAはちょっと後)。結成して35年。色々あって半年ほど活動休止した時はあったけど、それ以外はずっと走り続けていたモンスターバンド。脱退や活動休止が多いこのジャンルで、メンバーも変えず活動休止もせず35年走り続けているのがまずすごい。そして時の流れとともに当然メンバーも歳を重ねるわけだけど、その分楽曲も深くなったり広くなったりしている印象があった。とにかくすごいバンド。それがBUCK-TICK。そのメインボーカルが櫻井敦司。その出立ちから「魔王」と言われることもあった。ちなみに私は「あっちゃん」と勝手ながら呼ばせていただいておりました。

BUCK-TICKってメディア露出が少なかったから、たぶん世間的な知名度はそこまで高くない。そして80年90年代にヒットしたバンドなので、私の世代では知ってる人自体少ない。けどすごいバンドなんだよ。とてつもなく稀有な人が亡くなったんだよ。ってことを伝えたくて、櫻井敦司がこの世からいなくなるということがどういうことなのか何かに例えようとしたけど、例えが見つからなかった。櫻井敦司に替われるものなんてこの世界にひとつもなかった。
美人が多いと言われるこの界隈でも、櫻井敦司の美しさは群を抜いていた。本当にもう、とんでもなく美人。美人って言葉はこの人のためにあるんだ‥と思わざるを得ない美貌。あっちゃんをモデルにした漫画のキャラクターも沢山いたとのこと。私が知ってるのだと、HUNTER×HUNTERのクロロとか。あとNANAのタクミもあっちゃんっぽい。90年代の、黒髪ロングで闇属性のキャラクターは大体櫻井敦司がモデルだと言われている。おまけに人間性も魅力のひとつで、魔王というあだ名がつく見た目とは裏腹に誰に対しても優しくて愛くるしい性格をしていた。そりゃ外見も内面もずば抜けた人の代わりなんていないよなって、書きながら思ってる。

最後のステージはFC限定ライブだったとのこと。BUCK-TICKが大好きなファンと、あっちゃんが愛したメンバーのサウンドに見守られて旅立てたのかなと思う。脳幹出血ならきっと痛みもなくすーっと眠れただろう。そうだといいな。それにしたって脳幹出血した状態で3曲歌いきって、自力でスタッフ呼んで自分の脚でステージを降りて行ったって凄すぎない?とってもとっても悲しいことだけれど、魔王として長年この界隈に君臨し続けた櫻井敦司の幕引きとしてはこれ以上ないシナリオだと思う。亡くなったんじゃなくて魔界に帰ったんだよね?そうだと思いたい。

さすがにもう少しその声を聴けると思ってた。あっちゃんはしょっちゅう音楽と人やRRの表紙やってたイメージがあって、「また櫻井敦司!」ってこれからも目にできると思ってた。生まれてきてから、この界隈を好きになってからずっといてくれた存在がいきなりなくなるのは、「明日から土がなくなります」とか「もう空は見れません」とか言われてるのと大差ない。意味が分からない、想像もつかない。
そこからじわじわ悲しみというか喪失感が押し寄せてきた。最近嬉しいこと、楽しいことたくさんあったはずだけど何も思い出せなくなっちゃった。「そんなこと言わないでくださいよ」「たった数十年会えないだけじゃないですか」って、あっちゃんなら笑うだろうけど。あの美しくて愛くるしい笑顔で。

あっちゃん、寂しいよ。突然すぎるよ。そんなことってないよ。
あまりにも綺麗な人だから、やっぱり神様も年老いてしわくちゃになったり、ぼけちゃうことが嫌だったのかな。何か大きな病気をして、苦しんでいるあっちゃんを見るのは嫌だなと思ってたのは魔界の皆様も一緒だったのだろうか。美しいまま、何かしらの外傷も手術痕も一切なく魔界へ帰っちゃった。棺の中でお花いっぱいに囲まれたあっちゃんは想像するだけで画になる。去り際まで美しいなんてずるいなあ。けどね、そんな急がなくたっていいじゃんねえ。

ありがとう 愛を 陽だまりの日々を
一輪の花を 髪飾り 君に

『異空-IZORA-』というアルバムを出して、本当に違う空に行っちゃった。今回のアー写、手を合わせているのがまるで合掌に見える。アルバムの最後の曲にある歌詞(引用箇所)があまりにも櫻井敦司の最後の言葉に相応しい。あっちゃんはそんなつもりなかっただろうけど、全部何かの伏線だったのかなって思っちゃう。最後もステージの上で3曲も歌いきって、その3曲目のタイトルが『絶界』。終幕の舞台としてはあまりにも出来すぎている。

人間界は楽しかったですか。櫻井敦司として生まれてきてくれて、歌ってくれてありがとう。沢山の言葉を残してくれてありがとう。「孤独も悪くないよ」って最初に言葉で教えてくれたのはあっちゃんだったと思う。こんな綺麗な人でも孤独ってあるんだと思ったけど、こんな綺麗な人がそういうなら、きっとそうなのかもって思えた。あっちゃんの言葉に救われたこと、沢山あったよ。

まだ信じられないし、元気になったりずーんと凹んだりの繰り返しだけど、自分のせいで生活を投げやりにすることはきっとあっちゃんは望んでないだろうなと思う。だから少しずつまた前に進んでいく。BUCK-TICKもずっと聴く。絶対忘れないし、忘れたくないなあ。

ご冥福をお祈りします。心から。

 

 

f:id:razbliuto_0110:20231030233848j:image f:id:razbliuto_0110:20231030233916j:image

若かりし頃のあっちゃん。美人でしょ。 

f:id:razbliuto_0110:20231030233947j:image f:id:razbliuto_0110:20231030233944j:image

歳を重ねてからも格好良かったし、笑った時にくしゃっとなる愛くるしい笑顔は変わらなかった。

 

ゆっくり休んで、また気が向いたら歌ってほしいな。パレードはつづく。