【 razbliuto 】

孤独を愛せ、愛を貫け

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なんとなく繋がりそうな気がして、なんとなく師匠に電話したら、なんと繋がった。しれっと1年ちょっとぶりの会話をした。徹夜明けと言ってたので現場に戻ったんだろうか。元気?と聞いたら「んーまあまあ」と、だいぶ疲れた声で言ってた。それだけ疲れてるのに掛け直してくれたというだけで私は幸せで死んでしまう。まあ私は死ねばいいんだけど、師匠は大丈夫だろうか。もういい歳だもんね、なんて言ったら破門されそうだ。

本当にドえらく気持ち悪い話なんだけど、人生の半分この人のこと好きらしい。うわ、気持ち悪。まあ私も気持ち悪いけど、ある日いきなり「実は俺、ほんまは石川って苗字やねん」と言い出した師匠もだいぶ気持ち悪いからおあいこだと思ってる。結構、名コンビと言われてたんですよ。ずっと私の憧れであり、目指すべき場所であり、生きる上での指標であり、私の背中を思いっきり蹴飛ばしてくれる人であり、唯一の駆け込み寺であり、私以上に私の理解者。要するに超大事な人。「お前は真っ当に生きろ」という5トンくらいある言葉を私は一生背負うし、この人の名を穢す生き方は絶対しないと私も決めてる。

たった5分の電話なのに「心が護りに入ってるな。お前は何に怯えてんの?」と言われた。私そんな話してないのに、相変わらず痛いところを的確に突いてくる。本当に、感覚が鋭い。守るも怯えてるも、よく分からないや。けどすごい分かる。気持ち悪い。しばらく考えよう。泣けなくなった話をしたら「なんで泣けへんの?なんで泣くことが悪いことって思っちゃってんの?」とめちゃくちゃに詰められた。私は答えられなかった。で、最後に「身体も心も、無理しなや」とも言われた。「うん、私はまだやれるよ」と話した。「また聞かせて」という言葉に、「昔は私のことなんて1ミリたりとも興味なかったのに、人間丸くなったなあ…」としみじみ思いながら、「うん、任せて」と話して、電話を切った。ほんの少しだけ温かい夜。