【 razbliuto 】

孤独を愛せ、愛を貫け

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長年我慢していたところに最後の鉄槌が下ったのが6月に入ってすぐの出来事。楽しいことが何一つ思い浮かばなくなり、好きなものを食べても美味しいと思えなくなり、気付いたら夜中の3時で、心はなんだかずっと苦しく、世界のことが怖くなり、顔洗ってるだけで涙が溢れたり、突然呼吸が上手く出来なくなったりした。我ながらこの状態で数日、よく働けたなと思う。もうダメだと思って病院にいって、ひとつの診断が降りた(病気では無かった)。「疑いですか?」と聞いたら「いや、疑いではないね」と言われたので「どうもっ、ありがとうございましたぁ~!」と頭で流れた。環境を改善すれば回復が見込まれるし、環境を改善するしか回復が見込まれないものだったのですぐに会社に相談。誰に話すかすごく悩んだ。世界のことが、怖かった。

「まだこの人ならまともな対応をしてくれるかもしれない」と思った上司に全部話した。これまでのこと、今の状態、今のままではいられないから環境を整えてほしいということ、全部。全部聞いてくれて、すぐに上にも繋いでくれて、本当に助かった。

一番仲良い上司のことは一番好きだったし、一番信頼したかった。けれど、色々あって出来なかった。いつ地雷を踏むか分からない恐怖にずっと脅えて、踏まないようにあの手この手を使って場を掻い潜ってきた。この時使ったのが、「手」ではなく「気」だったのが余計に負担になった原因だったんだと思う。なんでこんなに我慢しなきゃいけないんだと思いながらも技術面で一番頼りに出来る人だったから、私は失うわけにはいかなかった。だからとにかく必死だった。気を遣ってることすら誰にも悟られてはいけないと思ってた。一番近くて頼りにしたい上司との関係がそんな感じだったから、世界中そんなものなんだと思っていた。安心や安全なんて言葉はどこにもない戦場のような世界で、私はずっと生きていた。

全部話して、話したこと全部をちゃんと聞いてもらえた。すごくホッとした。あれ、意外と空は青かったのかもしれないと初めて思った。「流石にこれだけのことは求められないと思うから、私はこのレベルまでなら許容します」と言ったら「俺はそれもしてほしくないな。睦月が負担に感じること、何もしてほしくない」と言ってくれた。別の上司は「今が一番大変だと思う。昼からは働ける?明日休めるなら休んでいいよ。明後日は大事な日だけど…それでも厳しかったらお客さんに交渉するから言ってね。体調最優先にしてほしいな」と言ってくれた。あれ、私が今まで生きてた世界はなんだったの。

そんなこんなで即時に業務調整がなされ、本当に必要最低限の業務以外は一旦何もしなくてよくなった。さすがに申し訳ないからちょっとはやりますと言ったけど、それも跳ね除けられた。あれ、何もしない人間になるけど存在してていいんですか?

「今まで睦月は散々我慢して周りに気遣ってきたんやから、多少周囲に気遣ってもらっても全然いいやろ!むしろそれでもお釣りくる!」と言ってくれた友達。会社の方もかなり色々動いてくれたみたいなので、頑張って回復しようとせず今はこのとろろ昆布みたいなふらふらふわふわした状態で日々を揺蕩っていこうと思う。