【 razbliuto 】

孤独を愛せ、愛を貫け

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仕事を辞めてストレスが減ったからか、はたまた平日の昼間に私服で街中をウロウロしているからか、多分どっちもなんだろうけど、最近「学生さん?」と聞かれる機会が多くなった。私の場合もう休みすぎだけど、それにしても適度な休業やストレスの発散はアンチエイジングに何より効く気がする。

午前中に健康診断を終わらせた後、昼過ぎに美術館に行った。開催が決まって宣伝され始めた時から行こうと決めていた「切り絵アート展」。特に切り絵が好きなわけではないのだけれど、ポスターの絵が気に入って、行ってみようと思った。「切り絵」というと、歴史小説の表紙や挿絵に使われているような力強くて硬派なデザインを想像していたのだけれど、行ってみてびっくり。もちろん作家や画風によるが、筆で書くのと変わらないほど色彩もタッチも鮮やかな絵が沢山あった。光を前から当てた時と、後ろから当てた時で全く違う絵が浮かび上がるものであったり、「これ本当に切り絵!?鉛筆でも無理!」というくらい繊細なものがあって、新鮮だった。「紙を切る分、筆で描く絵に比べて不自由が多い。けれどその不自由の中で表現することがこのアートの楽しさだ。」そのようなコメントも見かけて、なるほどなあと思った。紙の質感や薄さ、色の重ね方…そういった様々な工夫によって、表現の幅はグッと広がる。まったく、芸術はどこまでも深い。油絵等の古くからある画法に比べてジャンルが確立されきっていない分野であるため、この先ますます面白くなってくるのではないかと思う。何より歴史が長くないということは作家も現代に生きている人が多く、この作品を作った張本人の生のコメントを読みながら作品を見ることが出来たのがよかった。本当に面白かったので、お近くで開催された際はぜひ行ってみてください。

美術展を見終わって外に出てスマホを見ると、LINEの通知が来ていた。もうかれこれ10年ほどの付き合いになる兄貴分みたいな人からで、連絡によるとこの度昇格が決まったらしい。彼が今している仕事の中間ゴールのようなポジションなので、そこに就くことが出来るという報せに私も嬉しくなった。その仕事を始めた頃のピカピカ期から、途中の挫折や迷走期もずっと見てきた人だ。手探りしながらも、時々「ん?」というような言動をしながらも、いつも頑張って少しずつ前に進んでいくのを見ていたので、その頑張りが認められたということで本当に嬉しい。なかなか大変そうな部署を任されたみたいだけれど、本人もやる気だし、私も彼なら大丈夫だと思っているので、この先が楽しみ。周りが前向きだと自分も前向きになれるので、良い連鎖だと思う。私もまだまだ未熟な人間なのでいつでもどこでも何があっても笑顔で前向きという訳にはいかないけれど、それでもなるべく笑顔で前向きで居られたらいいな。私もそろそろ腰を上げますか。