【 razbliuto 】

孤独を愛せ、愛を貫け

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「女辞めたい」って、100万回くらい思ったことがある。

朝起きて化粧するのが面倒臭かった時。化粧の仕方なんて誰も教えてくれないのに、社会に出た途端「化粧はマナー」などと言われた時。そのくせ、好きな格好をしていたら派手だのなんだの言われる時。化粧を落とすのが面倒臭い時。金欠なのに化粧品が足並みを揃えたかのように同時に無くなり、まとまった出費をせざるを得なくなった時。化粧をするのにもお金がかかるが、落とすのにもお金がかかる上、クレンジングはそれなりにきちんとしたものを選ばないと肌へのダメージが深刻になってしまうため、化粧を落とすのにも多額のお金をかけている時。重たい荷物が持てなくて、やむを得ず近くの人を頼るしかなかった時。高いところの物が届かなかった時。ちょっと物知ってるだけで男性から倦厭される時。どう頑張っても男性には力では勝てないことに絶望した時。「若い女の子だから」というよく分からない理由で飲み会やお酌に駆り出された時。毎月お腹が無駄に痛くなる時。その前後で精神状態がやたらと不安定になる時。そんな時に、大切な人に八つ当たりをしてしまったらもう最悪だ。大体後になって、とてつもない後悔が襲ってくる。私が一番女を辞めたいと思う瞬間はこの時かもしれない。で、それが嫌で薬を飲むために毎月3000円くらいの出費が必要な時。貴重な土曜日の朝が月1で通院に奪われる時。病院関係でいえば、マンモグラフィも死ぬほど痛かったな。生理痛が酷くて周囲確認してから優先座席に座っていたら、隣の爺さんに「若いもんが情けない」と言われたこともある。国からは「生理用品は嗜好品」と言われ軽減税率対象外。こんなんばっか。はあ、女辞めたい。

いつだったか忘れたけど、昔、何かのきっかけで知り合った男性に誘われて飲みに行った時のこと。カクテルの中ではジンバックが好きな私は、その時もいつも通りジンバックを注文しようとした。しかし店員さんが「ジン」の部分しか聞き取れなかったらしく、私が「あ、バックでお願いします」と言い直したら、店員さんが去ったあと「”バックでお願いします”って、なんかエロいね(笑)」とにやにやしながら言われた時は、全身から血の気が引いた。顔も名前もなんで飲みに行くことになったのかも覚えてない相手だけど、未だにそのことだけは時々思い出す。大好きなお酒をオーダーしようとしたら思い出してしまうなんて、最悪だ。けどジンバックは今でも好き。

お気に入りのリップをつけて戦闘力とご機嫌共に最強になった時。可愛い化粧品に心躍らせている時。デートの服を何日もかけて探している時。可愛いお洋服を見つけて「早くこれ着て出かけたい!」となっている時。女友達とケーキ食べながら何時間も話してるのがめちゃくちゃ楽しい時。好きな人に「可愛い」「好きだよ」と沢山言ってもらえた時。女でよかったと心底思う。女でよかったと心底思う瞬間があっても尚、女辞めたいと今まで100万回くらい思ってきた。なんていうかもう、全世界から優しくされて生きたい(話の落としどころが見えなくなったので強制終了)。