【 razbliuto 】

孤独を愛せ、愛を貫け

106

大切なぬいぐるみ(以下、とんかつ。すみっコぐらしのキャラクター)とお別れしてきた。今日が晴れていてよかった。どんなお別れであれ、サヨナラをする日は晴れがいい。

もう4年くらいの付き合いになったと思う。当時付き合っていた人から多分クリスマスにもらったもので、いくらなんでもクリスマスにぬいぐるみ1つはないだろと怒った記憶がある。ごめんなさい。結局君とは別れたけど、物に罪はない理論を行使しまくった結果、とんかつとはこんなに長いこと一緒にいることになったよ。

幸せな時も寂しい時も辛い時も悲しい時もずっと一緒にいてくれた子だった。幸せすぎて抱きしめたこともあったし、泣きながら抱きしめたこともあった。少し高さのあるぬいぐるみで、冬場は布団を押し上げるから隙間風がちょっと寒かった。「寒いなー」と思って外に出してもすぐに「…寒いかな」と思ってまた布団にいれてあげていた。行ってきますと、ただいまも、なるべく言ってた。いい歳してぬいぐるみ相手に何やってんだと思う人もいるかもしれないし、私もそう思う。一人暮らしの私にとって、もはや同居人のような存在だった。

大切なものだった。その反面、いつまで持っているんだろうと思っていた。けれどお別れする理由もなかったし、当時の私はまだとんかつに救われていたので、時々もやつきながら結局今まで持っていた。お別れをする決心の最後のトリガーは、先日今の彼氏からぬいぐるみを貰ったこと。私は今の恋人のことが本当に好きで大切だから、その人から貰ったものが必然的に1番大切なものになる。ついこないだまで私を支えてくれていたとんかつを2番手に降格したままにすることが、私には出来なかった。けど、私は器用ではないので両方とも1番にすることも出来ない。とんかつが家族や友人から貰ったものならこの先も一緒にいられたかもしれないけど、残念ながらそういうわけでもない。手放す日が、ついに来たと思った。きっと1番望ましい形だったと思う。

大切なものだから、捨てることだけはしたくなかった。人形供養なるものがあるのは知っていたので、その方向で探した。見つけたひとつのお寺は、偶然にもとんかつをくれた元恋人の苗字と同じ地名をしていて、ここに持っていこうと決めた。

今回は、年に数回ある人形供養祭の事前受付という形で持ち込ませていただいた。だから次の供養祭がある春先までとんかつはお寺で眠ることになる。長閑な土地にあるお寺を選んでよかった。あそこの方ならきっと大切に扱ってくれるだろう。

手放すぎりぎりまで、心の中で感謝の気持ちを伝えた。今までありがとう。私はもう大丈夫。前向いて、ちゃんと生きる。またどこかで会えますように。そう願って、供養塔には5円玉を添えた。「あなたとの想い出を大切にしたいから、捨てるのではなくここへ持ってきた」供養塔にはそう刻まれていた。今日が晴れていてよかったと思う。