【 razbliuto 】

孤独を愛せ、愛を貫け

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「仕事休みにならないの?」「在宅勤務できないの?」「時差出勤は?」「手洗いうがい消毒ちゃんとしてね」「気を付けて、かからないようにね」。気遣っていただくなか申し訳ないけど、もう聞きたくない。仕事が休みになるなら今頃出勤していないだろう。在宅勤務も時差出勤も出来るなら今頃している。手洗いうがいは年柄年中徹底してるし、アルコール消毒に至っては部署の方針でこまめにしすぎて手はもうボロボロだ。ハンドクリームを買うにも店舗が閉まっていたので通販で発注したら「注文が込み合っているので発送は最低1週間先」といわれた。元々荒れやすい指先がやられているので毎日のシャンプーが痛い。気を付けて罹らないなら岡江さんは亡くなっていない。大阪で感染者が見つかった時、兵庫大阪間の移動制限がされた時、弊社が入っているビルで感染者が出た時、緊急事態宣言が発令された時、少しでも自分の危険が減ることを期待したし、その度に変わらない現状に失望もした。やれることは最大限しているけれど、もう諦めている。その状態でまともにこれらの声を聴いていたら気が狂いそうになるので極力聞かないようにしている。私は人の声を聴かないようにすると日々の感受性と記憶力も一気に低下するので、おかげで最近の記憶はかなり曖昧。そんな言葉よりも私はハンドクリームと絆創膏が欲しい。自分、本当に最低な人間にもほどがある。

ちゃんと制限しなければいけない、自分の行動が見知らぬ誰かを殺すかもしれないという天使がいる一方で、悪魔がいるのも正直なところだ。この期に及んで遊びにいく人は死んでもいいと心底思うが、結局最前線の医療従事者に迷惑が掛かるのでギリギリ良心が勝っている。今の社会を維持するために闘う人たちが辛くなるようなことは少しでもあってはいけない。ただ、4月下旬現在約370名がコロナで亡くなっているが、警視庁の発表によると1月から3月の3か月で4800人近くの人間が自殺しているらしい。4月に入ってから本格的な自粛が始まり失業者も多く出ているから、今頃5000人は軽く超えているだろう。国を挙げて戦う相手がウイルスでいいのか、もはや分からない。経済が死ぬのは本当に勘弁していただきたい。

だいぶ気温が上がってきたので冬物のニットを洗濯した。表示を何も見ずにとりあえずネットに突っ込んでニット使用可能な洗濯剤と柔軟剤をいつもより気持ち多めに入れただけなので多少駄目になることは覚悟していたけど幸い綺麗に洗えたようだ。「この服はあの時買ったものだな」とか「これ着て何処行ったな」とか、そんなことを思い出しながら片付けた。同じようなことを考えながら夏服を片付けられるのだろうか。